マリエンホーフの蒸溜酒

ドイツ・ファルツ地方にて高品質のぶどうを栽培し、優れたワインを生産することでその名を知られるマリエンホーフ社。創業は17世紀後半から18世紀初頭といわれており、リケールづくりは19世紀から。年間およそ1870時間の日照のもと育まれた高品質のぶどうをもとに、良質なワインはもちろんのこと、リースリング主体の最上級ブランデーをベースに、秘伝の製法を受け継いできた。

まず新鮮で高品質の素材を使用することを条件とし、農作物である果物、花などの毎年の出来の違いをいかに上質に楽しめるか、という製法に力を注ぐ。秘伝の方法を守るため、次の継承者のみに製法は伝えられる。このようにじっくりと手をかけて仕込み、毎年の製品の品質をキープするため、生産量は必然的に少ない。

花や果物といった原材料は全て、ていねいな湯せん蒸溜によるもので、これが極上の余韻の長さを引き出し、ベースのワインブランデーの上質さが、雑味のないクリアな素材の味香を引き立てている。白砂糖やカラメルは一切不使用のため、旨味が強いにもかかわらず、甘みはタイトで引きしまっている。こうした湯せん蒸溜法による丁寧で伝統的な手法を守り続けるところは、現在の欧州でも数えるほどの軒数しかない。

「液体の宝石」と呼ばれた五感を覚醒する媚薬であると同時に、薬用酒であった史実も踏まえ、無香料・無着色で自然界の輝きを1本のボトルに映し出す。様々なボトルを並べてもうるさくならずしっくりくるのはすべて天然の色素であり、つまり自然界の景色そのものであるから。湯せん蒸溜により抽出したエキスとワインブランデーを合わせた後1週間~10日ほど素材を浸漬することにより色を引き出すが、ブループラムのように色素脱却を施すものもありその300年の伝統に基づく詳細は門外不出である。ただ、どこまでも角張ったところがなくやさしい余韻に満ちているのは、マリエンホーフの品質追求のひたむきさが、高い技術を持ちながらも誇示することなく、消費者への誠意に満ちているからであろう。

㈱エーデルリケール(樂空間L’est)では、マリエンホーフの最高級リケール、卓越した蒸溜法をいかんなく発揮したオードヴィ、ワインマーマレードなどを総代理店として輸入している。

◆その年の素材の出来によりアルコール度数、エキス分、味香に変化がありますが、各々のヴインテージによる差異もお楽しみください。

◆木製コルク栓を使用した製品は、ハンドメイドのため、出来る限り頭部分を持ちましての左右への負荷を少なく、ひねるようにまっすぐ上へ持ちあげるようお取り扱いください。

◆開栓前は立てた状態で、また開栓後はきっちり栓をし、冷暗所に立てた状態で保存ください。およそ2年間は変わらずお楽しみ頂けます。

◆ろ過処理を施さない天然素材のため、まれにオリやにごりを生じることがありますが、品質に問題はありません。

※ヴィオラ・リケールの色につきまして

2015年よりヴィオラ・リケールの色がこれまでの薄紫色から赤紫色へ変化いたしております。これは、地球環境の変化により、原料となる匂いスミレのうち薄紫色の収穫が減少し、赤紫色のスミレが増加したことによるものです。マリエンホーフでは、リケールに着色料を使用しないため、原料の変化がそのまま反映されますが、ヴィオラ・リケールをはじめとするマリエンホーフの天然リケールをグラスに注ぐ度に、地球環境などを再考するきっかけになりましたら、生産者・輸入者ともに幸いでございます。